糖質制限食の最初は外食よりコンビニ

糖質制限食を始めて、最初の3週間。パートナーによる献身的な協力と糖質制限食に挑戦してくれたおかげで、ほぼ理想的な体重減と血糖値減を実現できた。その後も仕事を少しずつ再開しつつ、糖質制限食、それも最も効果が期待できる「スーパー糖質制限食」を継続させることを最優先課題に置いた。

体力の回復と共に仕事も少しずつ増えていった。が、それに伴って、以前の様に東京での外食やホテルで執筆する時間も増えた。この時、外出先や宿泊先でどうやって糖質制限食を継続するかが次なる鍵となった。

取材を終え、夜、ホテルの部屋昆戻っでルームサービスーメニューを見る。しかし、手頃な料理は、ハンバーグーステーキやカレーライス、スパゲティ、サンドイッチといったものしかない。ステーキ定食もあるが、値段の高さもあってさすがに気が引ける。シェフサラダを前菜に、メインはと考えたまま、糖質制限食的にはメニューが決まらず、30分程考え込み、そのうちディナー・タイムが終了してしまったこともあった。

また、神田に新しく出来たホテルに泊まった時も、周囲が牛井屋やラーメン店、立ち喰いそば屋といった糖質制限人には入りにくい店ばかりで閉口した覚えがある。

大学病院への取材で京都に泊まった時もそうだった。夜、遅目にホテルに着くと既にディナーのルームーサービスは終了し、お茶漬けや天プラうどんぐらいしか深夜メニューがなかった。やむなく繁華街のある河原町通りまで歩き出したが、一人で入りやすい店というのが当時はなかなか見つからなかっか。しかもこちらは糖質制限という文字通りの「制限」がある。ただでさえ「一見さんお断り」も敷居の高い店が多い京都で、深夜の街をあてどなく彷徨し、以前入ったうどん店を見つけたが、店外のメニューを見て「これはアカン」と諦めたこともあった。

この夜は、いきなりの外食では糖質制限は無理だと諦めた。ホテルに戻って近くのコンビニに入り、そして、冷奴と蒸し鶏入りサラダ、温泉卵、6Pチーズに、ミックスナッツ、加えてハイボールの缶という「外出時のお得意コース」にした。これで足りなかったら、焼き鳥のパックか枝豆を頼む。ホテルの客室でこれを食べ、翌朝、早く起きてホテルのモーニングーブッフエで前日の不足分を補う作戦に出た。

この様に、コンビニで「お得意メニュー」をあらかじめ決めておくと、下手に外食先で難しい糖質制限を行なうより、早く対応が出来る。特に夜間は、夜10時から翌2時までが体脂肪の燃える「ゴールデンタイム」なので、この時開から換算して、就寝3時間前には夕食を済ませておいた方がいい。

加えて、夜は糖質を完全にシャットアウトするのが、糖質制限食効果を高める。

夜は、エネルギーを蓄えるインスリンが活発に分泌されるため、夜、沢山食べるとどうしても太りやすくなる。一方、朝になると蓄えられた脂肪をエネルギーとして排出するグルカゴンというホルモンが分泌される。それ故、朝沢山食べても結果として太りにくいのである。

従って、夜は会食や会合のお誘いが入っていなかったら、これ幸いとコンビニに立ち寄り「お得意メニュー」を購入して手早く済ませ、ゆっくり休んで翌朝の朝食を楽しみにするというライフスタイルの方がダイエットには適している。

その後、私自身も京都を度々訪れて市内で糖質制限食が食べられるレストランや気の利いた小料理屋、メニューの豊富な居酒屋などを次々と開発したので、昔ほど困らなくなった。だが、糖質制限初期の頃は、外食先の選定で苦しくなると仕方無くコンビニに飛び込んでいた。これを「苦労」と見るかどうかは議論の分かれるところだが、本音を言えばせっかく続けた糖質制限を下手な外食で途絶えさせたくないという切なる思いが、そうさせたのだ。

糖質制限食を続けていく上で、一番辛いのは外食で食べる場所がないという「閉塞感」である。だから、それを余り深く考えないうちにサッサとコンビニに入って、お決まりのメニューを選ぶ。こうした「割り切り」が糖質制限人を成熟させていく上で、最も重要になる。

食事で何か一番大切なのか。糖質を摂らないことが一番大切だと分っているから、こうした行動が無理なく取れるようになる。

糖質の多い食品を中心に好きなものを、好きな時間に食べていた時代、私の膵臓は血糖値の急上昇と急降下が繰り返されるため、ヘトヘトになってインスリンの分泌をコントロールできなくなっていた。また、このホルモンは脂肪細胞や肝臓にもっと太るように命令する肥満促進ホルモンだから、メタボな身体が更にメタボになっていた。

また、長時間食べず、いきなり血糖値が上がりやすいGI(グリセミックインデックス)値の高い、白い米やパンなどの精製した白い食べ物を食べると、血糖値が急上昇、急降下し、食事の栄養が皆、脂肪として身体に蓄積してしまっていた。

そして、脳も疲れていた。そもそも脳の主なエネルギー源は、ブドウ糖だが、糖質制限によって新たな糖を摂らないと体内のブドウ糖を使い果たして、エネルギー不足となる。この時、脳が代りに使うのが、脂肪酸が分解されて遊離脂肪酸となり、ケトン体という物質だった。つまり、脳が疲れた時、甘いものを食べるとスッキリするといわれるが、その結果、血糖値が急上昇・急降下し、またすぐイライラして甘いものが食べたくなる。すると、また血糖の急上昇と急降下だ。こうして脳も膵臓同様果てしなく疲れていって老化を進める原因となるのだ。

こうした生活習慣を改めるには、カロリーを60~80%に制限し、糖質を控え目にして、タンパク質と野菜をしっかり摂る食事が一番だ。

むしろ、こういうバランスの良い食事を心掛けると、身が栄養で満たされ、心も落ち着いてくる。従って糖質制限を行なえる外食場所を見つける時間がない場合は、最初は無理に探さず、近くにあるコンビニで健康一直線の定番メニューを揃えるのが一番いい。探しても糖質制限してくれる店などどこにもない。それなら、コンビニで済ませて、糖質制限食を継続する。まさに「継続は力なり」、最初に糖質制限食が途切れると、再び元に戻すには、また同じ意識改革をしなければならなくなる。それなら、一度始めた生活パターンをずっと継続していた方がいい。その時、コンビニは格好の「街の駆け込み寺」になるのだ。